INTERSPEECH2024 参加記・旅行記(その3)
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行程(再掲)。 本記事では学会後の観光(太字部分)の内容を書くことにする。
- 8/30-31: 移動日(成田 ️→ 上海 → アテネ → コス島)
- 8/31: コス島を少し観光、前泊
- 9/1-5: 学会会期
- 9/6: コス島からアテネへ移動、アテネ観光
- 9/7: アテネ観光
- 9/7-8: 移動日(アテネ → カイロ → 成田)
9/6(金): アテネ観光
コス島からアテネへ移動
日本へ帰るにはコス島からアテネへ乗り継ぐのが便利である。 そこで学会の後に2日ほど時間をとってアテネを観光することにしていた。 少しでも観光の時間を増やすために一番早い便を予約した。 この時間は空港までのシャトルバスが無いためタクシーを手配しておいたのだが、一人乗りなのでかなり割高であった(50€とかした)。
チェックアウトを済ませてロビーに出ると、10人くらい乗れそうなベンツの黒いジャンボタクシーが停まっている。 「これじゃないよな…?」と思いながら恐る恐る声をかけたところ、これだった。 ご丁寧に用意された階段を登り乗り込んでみると、なんだかパーリナイな内装をしていた。 窓枠の下部が謎のモダンな光を放っている。 座席の革はかなりしっかりしていて、充電コンセントもテーブルもある。 今日まで宿泊していたホテルの部屋よりも断然高級感があった。 一瞬50€を許しかけたが、冷静に考えて一人でこんなタクシーに乗る必要は無い。 まあ面白体験の経験値ということで。
飛行機は定刻通り、1時間ほどでアテネに到着した。 ともかく手荷物が邪魔なので、宿泊先のあるシンタグマへ向かう。 バスで1時間ほどだったが相変わらずバス停のアナウンスが無くて謎だった。 シンタグマはアテネの主要な市街地である。 これまでコス島しか見ていなかったので、だいぶ都会にやってきたなという感じがした。
チェックインまで少し時間があったためまずはランチとする。 軽く調べて評判が良さそうなお店に入り、なんだか全然分からない肉を注文。 羊と牛をミックスしたソーセージになんかの野菜を乗っけてなんかいろんなソースをかけたものである。 これがめちゃくちゃ美味い。 これまでのギリシャの食事を完全に覆す衝撃的な美味さ。 会計の際にわざわざ「今回の旅で一番美味しかったよ!!」と伝えるほどである。 しかしこれが大きな間違いであった。 このタイミングで今回の旅で初めてチップを要求されたのである。 クレジットカード決済時に自分でチップ額を選択するシステム。 5%、10%、15%から選べるのだが、「一番美味しかったよ!!」とか言ってしまった手前、15%しか選ぶことが出来ない。 基本的に倹約したい質なので、もうちょっと図太ければ自信満々で5%を選択しただろうが、やんぬるかな、自分には到底無理であった。 お人好しめ! 美味かったので良いです!
ゼウス神殿〜チェックイン
ランチを終えたところで、まだ少しチェックインまで時間がある。 仕方ないので手荷物を引いて軽く観光する。 Athena’s Combined Ticket という、主要な遺跡や博物館に出入りできる共通パスを購入していたので、その対象の施設に行きたい。 割と近くに「ゼウス神殿」があるので行ってみることにした。 チェックイン前のためキャリーケースを引きずっていく。
うむ、工事中。
元々はめちゃくちゃデカい神殿だったんだなという感じがする。 青空に白い柱が映えまくる。
良い時間になったのでチェックイン。 普通のビジネスホテル的な部屋で、広くは無いけど綺麗でカビの匂いももちろん無い。 会期中の部屋とは大違い。これだけでどれだけ幸せなことか! 次回からは安いバカンスではなくそれなりのビジネスホテルに泊まろうと心に決める。
アテネの丘巡り
軽く涼んでから街を歩き、「ハドリアヌスの図書館」と「ローマのアゴラ」へ。 比較的小さい遺跡だが、街中に突如現れるので少し驚いてしまう。 といっても街は古風でどこか絵本のような雰囲気が漂っており、その中に遺跡も溶け込んでいるように感じた。 でも途中で黒人に「Bro!! Bro!!」「Are you Chinese!?」と声をかけられたのは普通に怖かった。
アテネにはいくつか丘がある。 丘からの夕日を見てみたいと思いリカヴィトスの丘へ向かった。 暑い中軽いハイキングで少し疲れたが景色は素晴らしい。 見渡す限り白すぎである。
そしてここにも猫がいた。 普段別に猫派とかじゃないけどこれはさすがにかわいかった…。
しばらく座って夕日を待っていたのだが、18時にしてはどうも明る過ぎる。 ここで気づく。サマータイムである。 日の入りまであと2時間もあるらしい。 さすがにここに2時間もいるわけにもいかないので、仕方なしに別の丘へ移動することに決めた。 水分が不足しそうだったため、不本意ながら6€もするオレンジジュースを購入。 めちゃウマだったのでヨシ。
オレンジジュースを片手にリカヴィトスの丘を下り、フィロパポスの丘を登る。 どうやらこの辺りはメインストリートらしく、博物館や飲食店も多く見受けられた。 途中でアレオパゴスという小さな岩山があったので登ってみる。 階段がついているので登るのは簡単だが、上は岩がゴロゴロしている。 そしてこの岩がまたかなり滑る上に柵が全く無い。 これは死ねる。
ついでにここから見るアクロポリスはめちゃくちゃ綺麗だった。 一番綺麗な遠影だと思う。
その後フィロパポスの丘では無事日の入りを眺めることができた。
夜の美術館
だいぶクライマックス感があるが、すぐそこにアクロポリス美術館があることに気付いたので寄ってみることにした。 ガラス張りのモダンな建物で、大量の彫刻が展示されている。 涼しくて広くて治安良くてサイコーの場所だった。
そして外に出ると地下遺跡の発掘跡がダイナミックに展示されている。 カッコ良すぎる。
思ったより出費してしまったので夜はそのへんでギリシャヨーグルトを調達し、あとは日本から持ってきたもので間に合わせることにした。 よく動いて疲れたのでぐっすり寝た。
9/7(土): アテネ観光
古代アゴラとアクロポリス
めっちゃ寝た。
まずはアクロポリスへ向かう。 昼になると混む上に暑いので地獄なのである。 と、ここでトラブル発生。 なんとアクロポリスだけは共通チケットで予め指定された時間しか入場できないのだという。 確かに時間は指定したが、「この時間から共通チケット利用開始」の意味だと思っていた。 どうやら普通に分かりづらいようで、受付の人が「Oh, again!!」と言っていた。
ということでアクロポリスだけ個別でチケットを買い直す羽目になってしまった。 ここで指定された時間が真昼間。 混む上に暑いという一番嫌な時間だが、メインの遺跡なので行かないわけにも行かず。 分かりづらいのは事実っぽかったしひろゆきばりにゴネれば良かった。
時間が空いたので、先に隣にある古代アゴラへ。 個別チケットだとアクロポリスの半額以下で入れてしまうが、敷地も広くかなり楽しい遺跡だった。 小さいが博物館的な施設もある。
いよいよアクロポリスへ。 アテネと聞いて一番最初に思い浮かぶであろうアレである。 昨日に引き続いて丘登り、辿り着いてみると想像以上の凄まじさ。 遺跡の形自体は古代アゴラのそれと同じなのだが、スケールが段違いである。 もちろんかなり復元もしているようだが、こんなにデカいものが古代に存在していたこと自体に純粋に感動してしまう。
最後の観光:ギリシャコーヒーと考古学博物館
さて、まだまだ時間があるので市場へ向かい、飲みたいと思っていたギリシャコーヒーをいただく。 ギリシャコーヒーは淹れ方が特殊。 ブリキ製の小鍋に粉を入れて直接水を注ぎ、熱々の砂に乗せて沸騰させて作る。 それをそのままコップに移すので、当然底に粉が溜まる形となる。 これは気になる! 砂糖を入れると良いとの前情報があったので少し入れてもらった。
味は普通のフィルターコーヒーとはやはり違う。 粉が一緒に少し口に入ってくるので、よりダイレクトにコーヒーを味わえるイメージである。 かといって雑味があるわけでもなく、砂糖の助けもあるかもしれないが、むしろ味わいは優しい。 どこかエスプレッソのようなコクも感じる面白いコーヒーであった。
さらに時間があったので、30分ほど歩いて考古学博物館へ。 道中でアテネで最も治安が悪いというオモニア地区を通ったが、日中は多少ホームレスがいる程度で(上野の方が多い)、それほど危険は感じなかった。 まあ大通りしか歩かなかったので、ちょっとでも狭い道に入ると危ないのかもしれない。 考古学博物館は昨日のアクロポリス博物館よりも幅広い展示があり楽しかった。 それにしても少しぐらい世界史の勉強をしてから来るべきであった。 知識があればもっと楽しめたと思う。
観光に全振りした結果、昼食を食べることに失敗した。 道端で買ったコーラで凌ぐ。
アテネ空港からカイロ空港へ
余裕を持って行動し過ぎた結果、空港に着いたところでまだチェックインすら出来なかった。 もう少し観光すれば良かった気もする。 あまり見るものもなかったので、ジェラートを食べながら充電エリアでスマホを充電して過ごす。 チェックインのときに前のご婦人に小声で「STAY」と言われて制されたが、あれはアジア人差別?の一種だったのだろうか。 なんだか気になってしまってそのあと一時的に外国人に近づくのがちょっと怖くなった。
帰りはカイロ空港で乗り継ぎである。 カイロまでのフライトはかなり空いていて、3列シートの窓際を独り占め出来た。 エジプト航空の機内ビデオは良かった。 金色の線が刻まれた秘宝が眩く光ることでシートベルトのランプを表現していた。 これはエジプトにしか出来ない芸当である。
それにしても良いフライトであった。 座席は広いし機内食も結構美味しい。 着陸前に暗くなったと思ったら、乗務員が謎のアロマスプレーを噴射しながら通路を歩いていく。 めちゃめちゃシュールなのに結構良い匂いで落ち着いてしまう。 窓から見るアフリカは、思ったよりまばゆかった。
カイロ空港
ここはわずか2時間程度のトランジットなのだが、やけに面白い場所であった。 ということで、まさかのカイロ空港で一つ節を設けてしまう。
まずお土産店ではエジプトの石像や秘宝のレプリカが売られている。 これはなかなかシュールである。 そして空港内でよく見かける移動用のカートがめちゃくちゃデカい。 めちゃくちゃデカい上に、クラクションを盛んに鳴らしながら人が死ぬ速度で爆走している。 一応施設の中なんですけど?
トランジットの手続きを終えた先には、なんと古代エジプトのミニ博物館がある。 200エジプトポンド。 受付で「大体5ドルだよ」と言われたが、後で調べるとほぼ4ドルだった。 適当である。 小さいけどミイラとかも置いてあり、普通に見応えのある展示であった。
搭乗時間になったので、頬杖ついてニヤニヤしながら電話しているスタッフに搭乗券を見せる。 ここでなぜか保安検査と金属探知が入る。 保安検査はやけに中途半端で、パソコンや飲み物を出す必要は無さそうだった。 それなのになぜかわざわざボディチェックがあった。 前の人が足を台に乗せてポケットのチェックを受けていたので自分もそうすると、「やんなくていいよ(笑)」みたいな反応をされてしまった。 なんなんだ。
日本へのフライトもなかなか面白く、前のモニターでコーランやアラブ音楽を聴くことができた。 そして相変わらずやたら美味しい機内食。 ビーフシチューが出たのだが、これが会期中のホテルで食べた牛肉よりうまい。 そんなことでいいのか。
カイロ空港とエジプト航空機内だけでかなり楽しい体験をしてしまった。 直行便もあるわけだし、いつかエジプト航空でエジプトに訪れてみたい。
感想
初めての国際学会ということもありいろいろ心配だったが、そのほとんどが杞憂であった。 全体的に意外となんとかなる。 特に今回はギリシャだったこともあり、空港もホテルもかなり観光客に慣れているように感じた。 おかげで国内旅行の延長ぐらいの気持ちで楽しむことができた。 水分補給はかなり心配していたが、地中海だからかホテルにかなりミネラルウォーターが用意されていたのも良い誤算であった。 学会もかなり充実したもので、今後のモチベーションに繋がった。
ただ、その充実っぷりから勢い余って参加記を書いてはみたが、普通に面倒であることが分かった。 多分もう書きません。